東京国際声楽学会 初の声楽公開講座を振り返って

参加者アンケートからの声もご紹介

 

2026214日、東京国際声楽学会(Tokyo International Vocal SocietyTIVS)は、東京都の練馬文化センターにて、学会設立後初となる声楽公開講座を開催しました。当日は約40名の方々にご参加いただき、最年長は80代、最年少は9歳と、幅広い世代が集まりました。参加者の皆さまの熱意は、私たちの当初の予想を大きく上回るものでした。会場には真剣な学びの空気が満ち、「正しい声で、安定して、もっと自由に歌いたい」という共通の願いのもと、参加者の皆さまは熱心に耳を傾け、積極的に実践に取り組みました。今回の講座を通して、東京の華人コミュニティや声楽愛好者の間に、質の高い体系的な声楽指導を求める声が、確かに、そして強く存在していることを改めて実感しました。 

 

一、めったにない公開講座声楽愛好者 × 第一線の声楽教育者

今回の講座では、王憲林教授に講師を務めていただきました。王憲林教授は、元中央音楽学院声楽歌劇系副主任・教授であり、東京国際声楽学会の名誉会長でもあります。参加者の多くは声楽を趣味として学ぶ方々でしたが、「正しい方法を知りたい」「学びの道筋を明確にしたい」「すぐに実践できる方法を身につけたい」という強い期待を持って参加されていました。今回、特に多くの方の心を動かしたのは、王教授が専門的な声楽訓練の体系を、分かりやすい言葉で丁寧に解きほぐし、「理解できる」「実際にできる」「自宅でも練習できる」という具体的な方法として伝えてくださったことです。

長い間、自分の発声上の問題に悩んでいた多くの参加者にとって、初めて問題の正体が見え、解決への入口をつかむ機会となりました。 

 

二、公開講座+マスタークラス「分かる」を「できる」へ

公開講座に加え、今回は個別指導形式のマスタークラスも実施し、4名の受講者が舞台上で直接指導を受けました。定員に限りがあったため、残念ながら今回受講できなかった申込者も複数いらっしゃいました。マスタークラスでは、王教授が非常に短い時間の中で、それぞれの受講者の課題を明確に整理し、いわば「問題の地図」を示してくださいました。呼吸の支え、声区のつながり、共鳴の位置、発音や言葉の処理、感情表現、音色の統一に至るまで、一人ひとりに対して具体的で実践的な練習方針が示されました。

また、舞台上で直接指導を受けた受講者だけでなく、聴講者にとっても非常に大きな学びとなりました。自分が指導を受けていなくても、先生がどのように課題を見つけ、どのような考え方で改善へ導くのかという「診断の過程」を、自分自身の練習に置き換えて学ぶことができたからです。 

 

三、会場に生まれた一体感皆で同じ目標に向かって声を磨く

この日、最も心を打たれたのは、講座の内容だけではありません。会場全体に、「みんなで少しでも良い声を出せるようになりたい」という、温かな一体感が生まれていました。熱心にメモを取る方、話を聞きながら小さく発声を試す方、説明を聞いた瞬間に表情が変わり、長年の疑問が解けたようにうなずく方もいらっしゃいました。長く自分を悩ませてきた問題が、これほど明確な言葉で説明され、具体的な方法として示されることに、多くの参加者が新鮮な驚きと喜びを感じていました。 

 

四、東京で築く、専門的で開かれた継続的な声楽交流の場

東京国際声楽学会(TIVS)は、2025年に設立され、在日コロラトゥーラ・ソプラノ歌手の秦千懿が発起人として会長を務めています。秦千懿は、四川音楽学院および武蔵野音楽大学大学院を修了し、声楽修士号を取得しました。日本で20年以上にわたり音楽活動を行い、複数の国際声楽コンクールで受賞したほか、各種コンクールの審査員や、大型音楽イベント、テレビ番組などの企画にも携わってきました。長年にわたり、「より開かれた形で、より体系的に、より質の高い声楽教育と舞台芸術交流を、多くの歌を愛する人々に届けたい」という思いで活動を続けています。今回の講座が無事に開催できた背景には、学会役員による力強い協力もありました。東京国際声楽学会の運営メンバーは、以下のとおりです。

劉子真 テノール/副会長
瀋陽音楽学院および洗足学園音楽大学大学院修了。声楽表演修士。

程音聡 バリトン
上海音楽学院および武蔵野音楽大学大学院修了。声楽表演博士。

張澤勇 バス・バリトン
上海音楽学院声楽教授。

 

また、本学会の活動に対して、さまざまなご助言やご支援をくださった音楽関係者の皆さまにも、心より御礼申し上げます。創設者の秦千懿は、次のように語りました。「日本で芸術活動を続けること、特にクラシック音楽の分野で活動を続けることは、決して容易ではありません。市場は決して大きくなく、芸術家は時として、続けることを選ぶというより、続け方を学ぶ必要があります。それでも続けるのは、芸術への愛があり、人生にはパンだけでなく、心を照らす光も必要だと信じているからです。」また、今回の公開講座について、「もともとは一度の試みとして始めた企画でした。しかし、王憲林教授が惜しみなく知識と経験を伝えてくださったこと、学会役員が力を合わせて運営したこと、そして参加者一人ひとりが熱心に学ぶ姿に、深く心を動かされました。皆さんが一緒に発声し、目を輝かせながら学んでいる姿を見たとき、私たちはこの道をこれからも続けていく価値があると、改めて確信しました。」と話しました。TIVSは今後も、より多くの講座や演奏活動を企画し、歌うことを愛する皆さまが、正しい方法を身につけながら、一歩ずつ成長できる場を築いてまいります。 

 

五、参加者からの声専門的で分かりやすく、役に立ち、満足度も高い講座

講座終了後、東京国際声楽学会ではアンケートを実施し、参加者の皆さまから率直なご意見をいただきました。全体として、特に多く寄せられた評価は、以下のとおりです。

内容が専門的でありながら、説明が明確で分かりやすかった

一人ひとりの課題に合った具体的な指導が行われていた

公開実演やマスタークラスの聴講が非常に役立った

受講料と講座全体の内容を考えると、満足度が非常に高かった

今後も同様の講座や音楽会を定期的に開催してほしい

  

六、王憲林教授からのメッセージ

東京に数日滞在し、東京国際声楽学会からの招待を受けて、声楽公開講座を行いました。幅広い年代の声楽愛好者を対象に講座を行うのは、私にとっても初めての経験でした。

何より強く感じたのは、参加者一人ひとりの熱意と誠実さ、そして皆さんの声楽に対する深い愛情です。今回は、年齢の異なる複数の受講者に対して、それぞれが抱える課題を踏まえ、いくつかの助言を行いました。参加者の皆さんの理解力と吸収力の高さには、私自身も驚かされました。短い時間の中ですべての声楽上の特徴や方法を説明することは難しいですが、「複雑なことを、できる限り分かりやすく伝える」という考えのもと、いくつかの重要な点について解説しました。参加者の皆さんが喜んで受け止め、積極的に反応してくださったことで、講師と受講者とのやり取りそのものが、今回の講座の大きな魅力となりました。今回、東京国際声楽学会が企画したこの活動は、非常に成功したものだったと思います。今後も、東京、そして日本各地の声楽愛好者に向けて、より多くの交流の機会が提供されることを願っています。

  

ご参加くださったすべての皆さまへ

ご来場くださった皆さま、受講者の皆さま、そして運営を支えてくださった協力者の皆さまに、心より御礼申し上げます。また、厳密で丁寧なご指導と素晴らしい実演をお届けくださった王憲林教授に、改めて深く感謝申し上げます。東京国際声楽学会にとって初めての公開講座は、盛況のうちに終了しました。しかし、TIVSの歩みは、まだ始まったばかりです。次回の活動で、再び皆さまとお会いできることを心より楽しみにしております。

―― 東京国際声楽学会